テキストサイズ

禁断兄妹

第78章 恐れずに進め



電話を終えて
しばらくドキドキが収まらなかった。

ついに一歩を踏み出した

そしてもう運命の歯車は動き出して
思いがけず灰谷さんの名前が現れた。

あの頃の私に何があったんだろう

その答えも全部
失った記憶の中にあるとしたら

私は本当に大きな一歩を
踏み出したのかも知れない。

不安もある
怖さもある
身の引き締まる思い
でも
立ち止まる気はない。


「恐れずに進むと決めたの。大丈夫‥‥」


あの頃の私にどんなことがあったのだとしても
今の私ならきっと受け止められる
きっと

それに
今電話で話した先生は
信頼できる灰谷さんと繋がりがある人だし
話しやすくて安心感がある
きっと大丈夫
きっと


「‥‥灰谷さんには、ひとこと言っておこうかな‥‥」


ふと
そう思った。

記憶が戻るかはわからないから
今回のことを誰にも話してはいない
この名刺をくれたことがわかった今
灰谷さんには伝えておこうか

ストーリーメニュー

TOPTOPへ