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禁断兄妹

第79章 つがいの鳥①



「リンね、由奈ちゃんとずっとこうやってお喋りしたかったんだー」


臨一朗は指を絡めたままころりと寝ころび
うんしょ、うんしょ、と言いながら
私の膝の上に頭を乗せた。


どういうこと

どういう
ことなの

悪い冗談


「由奈ちゃんびっくりしてる?」


言葉も出てこなくて
ただ頷いた。


「びっくりさせてごめんね。でもリンは一人でおうちにいる時はこうなんだ」


「え‥‥あの、臨一朗、」


「由奈ちゃんはリン君って呼んでね。優しくね」


「‥‥」


「ねえ由奈ちゃん、リンの頭なでなでして。でもこっちのおてては繋いだままがいい」


赤ちゃんプレイ
そういう性的嗜好を持つ人がいることは
知っている
けど

まさか臨一朗が

私の膝を枕に
安心したように瞳を閉じている臨一朗
はだけた浴衣から
まるで服を着てるかのような立派な刺青が
胸にも
両手両足にも


「由奈ちゃん、早くなでなでしてー」


私は
臨一朗の頭を撫でた。

柔らかな黒髪
臨一朗が目を閉じたまま嬉しそうに笑う。


「由奈ちゃんにはね‥‥ただ、リンと、ここで生きて欲しいの‥‥」


幸福なため息をつくように
臨一朗が呟いた。


「リンが死ぬまで、ずっと一緒に、ここにいて欲しいの‥‥」


「臨一朗‥‥?」


「リン君だよ」


「‥‥」


「あのね、リンはね、ちっちゃい頃から、跡継ぎなんだからしっかりしろ、強くなれって、みんなに言われ続けてきたんだー‥‥」


臨一朗は幼稚園児の口調のまま
ぽつりぽつりと
自分のことを話し始めた。

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