禁断兄妹
第79章 つがいの鳥①
「ちっちゃい頃からリンはね、早くしろとかもっと食えとか大きい声出せとか、何から何までいろんな人にいろんなことを言われてきたの。
ああしろこうしろ、あれダメこれダメ。すごくすっごく嫌だった。
でも嫌がって泣いたりするとお父さんやおじいちゃんから怒鳴られたり叩かれたりして、すごく怖かったから、言う通りにしてた」
そんな話を聞くのは初めてだった。
今までたいした話をすることもなく今日に至っていて
思えば私は臨一朗のことを
何も知らない
「お母さんは全然助けてくれなかった。お母さんもお父さんのことが怖くて言いなりだったから。いつもお父さんとおばあちゃんの悪口ばっかり言ってるくせに、みんなの前ではオホホーとか笑ってるの。それがすごく気持ち悪かった。
そんですっごく教育ママ。愛人の子に取って代わられたりしたら大変だとか言って、塾とか習い事とかいっぱいさせられて。
テストの点が悪かったりさぼったりするとお父さんに言いつけられてまたお父さんに怒鳴られて叩かれる。だからリンは嫌だったけど一生懸命勉強したり空手や剣道をしたりしたんだよ」
子供の頃の臨一朗が乗り移って
喋っているかのよう
プレイのような性的なものは感じない
夢とも現実ともつかないような感覚に
私も引き込まれて
「‥‥私はよく臨一‥‥リン君のこと、泣かせてたね。ごめん‥‥」
「うふふっ、そうだよね。
女に泣かされるなんて情けないって、お父さんによく怒られた。だからだんだん泣かなくなったでしょ」
「そうだね」
「うん」
臨一朗は穏やかに微笑む。
「そんな風にね、リンはできるだけ怒られないように生きていくようになったの。
大きくなってきたらお父さんやおじいちゃんに事務所にも連れていかれて、ヤクザの世界を見るようになった。怖かった。すごく怖い世界だった。由奈ちゃんもちょっとはわかるよね」
「うん」
「すぐ大声で怒鳴ったり、殴ったり蹴ったりするし、どこそこ組のやつが死んだだの殺しただの、ケジメだの落とし前だの、そんな話ばっかり。お金命で何でもカネカネ、集められないやつはゴミ以下の扱いだよ。
本当に怖かったし、嫌だった‥‥」
その気持ち
私と同じ