禁断兄妹
第79章 つがいの鳥①
臨一朗は
由奈ちゃんならそう言ってくれると思ったんだ、と
首をすくめるようにして嬉しそうに笑う。
「リンはね、由奈ちゃんのそういう強くて落ち着いてるところが大好きなの。
女の子だし本当はか弱いところもあるよね。それはちゃんとわかってるよ。でも、そのか弱さを隠して強がれる強さとか、我が道行っちゃうような強さがあるよね。それにどっか冷めてて落ち着いてる。
リンはちっちゃい頃から由奈ちゃんを見てきて、そういう由奈ちゃんの全部が好きなの」
それに本当にきれいなお顔だしね、と
私を見つめる瞳がうっとりと輝く。
「あのね、神楽の家は組の儲けと財産のことがあって、組長をずっと直系にしてきてるんだ。
子供はリンしかいないから、次はリンが組長で、その次はリンの子供が組長。昔から決まってるんだ」
「それは聞いたことがあるわ」
神楽組は古くからの老舗
そうやって財力と権力を守り育ててきたんだろう
「でもね、リンは女の人とエッチができないから、赤ちゃんが作れないの。作る気も全然ないの。だってかわいそうだよ。リンみたいにさせたくない。絶対嫌だよ」
ゲイと言うことだろうか
もう何を聞いても
驚きはない
「男の人が好きなの?」
「ううん、キライ。ただリョウタ君にいじって出してもらってるだけ。由奈ちゃんはリンにそういうことしないでね。イヤだから」
「リョウタ君って?」
「リンがちっちゃい頃から側にいる人。時原良太。
こういうリンを知ってるのは、リョウタ君と由奈ちゃんだけなの」
「そうなんだ‥‥」
この『リン』を知っているのは自分だけではないということがわかって
気が楽になる
それに
臨一朗との性生活がないことに
ほっとしている自分がいた。