禁断兄妹
第79章 つがいの鳥①
「リョウタ君は目付役なの?私で言うところの修斗みたいな───」
無意識に口にしてしまった名前に
臨一朗がハッとした顔をする。
「えっ、私で言うところのって、由奈ちゃんあいつとできてたの?!」
「やめて、役のことよ。修斗とは何もないわ。ある訳がない」
「リンあいつのこと大嫌い!昔からリンのことすごい目で睨んでくるし、今回の結婚だって、霧島の会長も組長もいいって言ってんのに、あいつだけが最後までごちゃごちゃ言うんだもの!」
そうだったの
知らなかった
「『嬢にはもっといい嫁ぎ先があるはずだ、焦って安売りしないほうがいい』とか会長に言うんだよ!お陰でうちがいくら結納金積み増ししたと思う?!ちょっと会長に気に入られてるからって、由奈ちゃんも霧島組も自分のものだと勘違いしてんじゃない?!」
臨一朗は心底嫌っているようで
口を尖らせてあれこれ文句を言う。
「ごめん、私が名前を出したせいだけど、修斗の話は聞きたくないわ」
私がそう言うと
臨一朗はぴたりと口をつぐんで
由奈ちゃんもあいつキライ?と
顔を傾ける。
「嫌いとかじゃなくて、もう、なんだろう‥‥わからないわ‥‥」
───修斗あんた‥‥モエに何かしたの‥‥?───
───俺の気が済むようにしただけです───
───怪我をさせたのね‥‥?───
───だったらどうなんです───
「とにかく霧島組に関わることは考えたくないの‥‥」
柊君への報復のために
何の罪もないモエを傷つけた修斗
でも修斗を鬼に変えたのは私
私のせい
この怒りも悲しみも
自分自身で受け止めるしかない
「わかった。ごめんね。もうあいつの話はやめようね。由奈ちゃんは今ここにいるんだし、ざまあみろって感じだよ。
‥‥えーとなんの話をしていたんだっけ」
「リョウタ君」
「そう、リョウタ君は教育係みたいな感じでちっちゃい頃からリンの面倒を見てくれてるの。今は副組長。
リンが女の人とエッチできないって話をしてたんだったね」
さっきまでかんしゃくを起こしていたのに
もうけろりとして話を続ける臨一朗
本当の子供のように
喜怒哀楽が激しい。
「とにかくね、うちに来るお嫁さんは跡継ぎを産まなきゃダメなのに、いつまでも赤ちゃんができなかったら、神楽は大変なことになると思うんだ」