禁断兄妹
第80章 つがいの鳥②
私達はよく一緒にお風呂に入る。
バスルームは広く
丸く大きなバスタブには大人二人がゆったりと入れる。
臨一朗がアヒルを浮かべたバスタブの中で
抱き合うように二人でいても
母とおさなごのような感覚
恥ずかしさもいやらしさもない
勿論性的な行為も一切ない。
ミルク色の湯の中で
心地よさそうに瞳を閉じている臨一朗を
抱くようにして浸かりながら
私は
和虎君の姿を思い出していた。
木に登るだなんて
和虎君らしい無茶な発想
懐かしいあの顔あの声
久しぶりに見れて
本当に嬉しかった
みじめな泣き顔なんて見せたくなかったけれど
止められなかった‥‥
───由奈、必ず助けるからな!!───
ありがとう
その気持ちだけで十分
会えただけで十分
もう危険な真似はさせられない
臨一朗は私に対して異常なまでの独占欲を持っている
行動は全て臨一朗が可否を決め
その他は遮断されている
万が一のことを考えて
読んだ後の紙飛行機はすぐに燃やしてしまった。
『組長に直接会って、手紙を返してくれと言って欲しいんだ』
『電話とかじゃなくて、直接だよ』
『組長の気持ちを動かす為に、由奈が直接会って頼んで欲しいんだ』
どんな手紙かわからないけれど
修斗から取り戻して柊君とモエに返す
それが私にできる
最後の罪滅ぼしらしい
私にしかできないことなら
ここで生き永らえてきた意味も
あったように思える。
「‥‥でも、モエが妹だったなんて、どういうことなのかしら‥‥」
「んー?」
「何でもないわ‥‥」
抱いている臨一朗の頭を
そっと撫でる。
「温かくて気持ちいいね、リン君」
「うん。由奈ちゃんのふわふわおっぱい、気持ちいいー‥‥」
ちゃぷり、アヒル達が揺れた。