禁断兄妹
第81章 つがいの鳥③
まあとにかく座ろうじゃねえか、と
おじいちゃんは私の手を引き
修斗にもソファに座るよう勧める。
私はおじいちゃんのすぐ隣に
修斗は私達から少し離れて
ちょうど私の正面になる位置に
腰を下ろした。
私が前を向くと
必ず修斗と目が合う。
そんなに強く
見つめないで欲しい
「まったく、七年も顔を見せねえで、へそ曲げてたのか。それとも神楽の居心地が良くて霧島を忘れてたか?」
「ずっと顔も見せなくてごめんなさい。
確かに結婚した当初は、頑なになっていたと思うけど、今はもうそんな気持ちはないわ。ただ惰性でなんとなく来てなかっただけよ」
「なんとなくで七年か。まったくお前ときたら、人に気を揉ませずにはおらん女だなあ」
おじいちゃんは苦笑いして
「ところでどうだ、神楽の暮らしは」
「みんなにとても良くしてもらってるわ。おじいちゃんが言ってたように、すごく立派なおうちで、お金持ちで、何不自由なく暮らさせてもらってる」
「そうかそうか。そりゃあ何よりだ。
ところでお前、子供がまだいねえのはどうしてだ?できねえのか?」
「臨一朗とまだ子供はいいねって言ってたら、この年になっちゃったって感じ。できなくて子供がいない訳じゃないわ」
予想していた質問に
準備していた答えを口にする。
「お前達はまだ二十代だからなあ。神楽の倅はお前に惚れ込んどるようだから、まだ二人でいたいんだろうさな」
「うん。そんな感じ」
「お前もそう思っとるのか?まだ子供は欲しくないのか?」
「そうね。まだ先でいいかな」
「そうか。まあ、子供ができたら世話に明け暮れて、今みたいにお姫様のようには暮らせねえしな。タイミングは二人の好きにすりゃあいい。わしはそう思っとる。わしはな」
おじいちゃんは
顎を撫でながらそう言って
しかしな由奈、と言葉を続けた。
「子供を作らんで、お前神楽の家のもんに色々言われてねえか?あの家は跡継ぎが必要な家だろうに」