禁断兄妹
第81章 つがいの鳥③
おじいちゃんは
私の目の奥を見ているようで
思わず怯みそうになる。
「多少は言われることもあるけど、臨一朗が話をしてくれてるわ」
「本当に多少か?
さっきお前は、みんなにとても良くしてもらってる、と言ったが、子供子供とあからさまに急かされたり、きついことを言われたりしてねえか?」
「多少は言われるけど、臨一朗と私が考えてやってることだから。別に平気よ」
ざわめきそうになる心
神楽での食事会の時のように
石に変えて微笑んだ。
「そうか。まあ、嫁ぎ先の愚痴や泣き言を言わねえのは、見上げた嫁だがな‥‥」
おじいちゃんは納得がいっていないような
複雑な表情で
「それとなあ由奈。修斗から報告を聞いとるが、正直な話、お前あんまり自由がないのと違うか?」
「え‥‥?」
「確かにデパートやら美容室やらには行っとるようだが、全部神楽の車で付き人と行って戻ってくるだけだろう?一人で外出もしとらんようだし」
臨一朗が言っていた
行動確認をされているという話は
本当だった
どうして知ってるの
勝手に調べないで
そんなことを言うのも
今更のように思った。
「別に一人で行きたいところはないわ。
友達はいないけど、お気に入りのショップの店員さんとか、美容師さんとか、お店に行けばお喋りできるし。臨一朗とレストランやドライブに行ったりもしてるのよ」
「友達もおらんのか」
「極道の姐さんになっちゃったんだから、以前付き合いのあった友達と会おうとは思わないわ。向こうだって迷惑よ。だからって同じ極道のママ友みたいなのは嫌だしね」
なるほどなあ、まあ確かになあ、と
おじいちゃんは大きく息を吐いて
私をじっと見る。
「お前を神楽に嫁がせたことを後悔しとる訳じゃないが、お前が苦労しとるんじゃないかと、心配でな」
「おじいちゃん‥‥」
「もしお前が望むなら、離婚してもいいんだぞ」
離婚
はっきりと口にされた言葉が
胸を突いた。
「もしお前が望むなら、今日この時から、もう神楽には帰らなくてもいい。後のことは全部修斗がうまくやるから、お前はなんの心配もしなくていい。神楽とも臨一朗とも話をつけて、綺麗に方をつけてやる」
臨一朗
あなたの言った通り
「どうだ、由奈」