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禁断兄妹

第81章 つがいの鳥③



静まった部屋の空気
私に向けられる二つの視線が
固唾を呑むように
答えを待っている。


「心配してくれてありがとう。
 でも大丈夫よ。おじいちゃんの気持ちは、心にとめておくね」


私は二人に微笑んで見せた。


「それはお前の本心か?本当にそう思っとるのか?」


「うん。本心よ」


「そうか‥‥」


ため息をつくおじいちゃんの瞳には
隠しきれない落胆の色が

私を睨むように見つめる修斗の瞳には
落胆というより
憤り


「まあ、これはお前が決めることだから、外野がどうこう言っても仕方ねえ。説得する気はねえ。
 ただ忘れるなよ由奈。離婚したくなったら、いつでも帰ってこい。なんの心配もいらねえ。わしはそれが言いたかった」


神楽に嫁がせたことを後悔してる訳じゃない、と言っていたけれど
きっと後悔しているんだろう
そう思った。


「うん、わかった。ありがとう。
 ところでね───」


この話題が終わらせようとした私に
燃えるような瞳をした修斗が
何か言おうと口を開きかけた。


「修斗。私、修斗と二人で話したいことがあるの。少し時間をもらってもいいかな」


修斗は意表を突かれたように
瞳を閃かせ

おじいちゃんは
おお、そうか、と
意外そうな声を上げた。


「そうかそうか。わしからお前に伝えたいことは伝えたから、後は二人でゆっくり話せばいい。
 さっきわしが言ったこともな、修斗から改めて話を聞け。こいつはお前の為によく動いとるんだ。なんでも相談してみろ」
 

「うん」


わしは下におるから話が終わったら降りてこい、飯でも食いに行こう、と言って
おじいちゃんは部屋を出て行った。

その重厚なドアが閉まると

私と修斗

二人きり

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