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禁断兄妹

第81章 つがいの鳥③



「久しぶりだね、修斗。
 組長になったこと、臨一朗からちゃんと聞いてたよ。おめでとう。すごいね」


修斗は黙ったまま
挑むように私を見つめている。


「下でツトムさんに会ったから、お祝いの品を渡しておいたわ。後で受け取ってね。
 玄関の両側に幹部がずらっと並んでて、歓迎されてるのかなと思ったら、盗聴器のチェックをされたりして、よくわからないわね」


修斗は私から瞳をそらさずに
ソファに深く腰掛けていた身体を
ゆっくりと起こした。

その動きに合わせて
皮のソファが衣擦れの音を立てる。

尊大に開いた長い足の両膝に肘をつき
組み合わせた両手を顎に当て

前傾姿勢となって
私と距離を詰めた大きな身体は
ゆったりと離れているソファも
間にあるテーブルも
全てを一瞬で飛び越え喉元に迫るよう

あまりにも強大な力を感じて
圧倒
される


「生きてますか」


低く力強い声が
ぼうっと修斗を見ていた私を
叩いた。


「え‥‥?」


「生きてるのか死んでるのか、生きたいのか死にたいのか、わからないような人間になってしまいましたね」


「‥‥」


「さっきは会長の手前、変わらず美しいと言いましたが、あれは嘘です。この七年の間に、あなたは神楽に魂を食われてしまった」


「ふふ‥‥相変わらずね」


無遠慮な言葉に
懐かしささえ感じながら
昨日
自分のこめかみに当てた銃口の冷たさを
思った。

確かに私は
ここへ来る為に命をかけたけれど

たとえ死んでも構わない
どうなってもいい

そんな投げやりさが
心のどこかにあった

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