禁断兄妹
第81章 つがいの鳥③
修斗は無言のまま
ゆっくりと立ち上がった。
部屋の隅に置いてある
大きな金庫へと歩いて行き
ダイヤルを回す音がして
まさか
そこに‥‥?
茫然と見ている私の前で開いた扉
修斗は更に引き出しを開けて
「お探しの手紙です」
私を振り返って
白い封筒を
顔の横にかざして見せた。
「すごい‥‥本当にとってあったのね‥‥」
和虎君
あったわ
あったわよ
驚きと嬉しさが込み上げて
思わず立ち上がった。
「本当にあるかどうかもわからずに来たんですか」
「半信半疑だったの。だって七年も前のことだし、捨てたりなくしたりしてるかもって‥‥」
「手持ちのカードは多いほうがいい。まさかこんな形で取り出すことになるとは思いませんでしたが」
「何にしても良かったわ。ほっとした。来たかいがあったわ。ありがとう修斗。本当に───」
「返すとはまだ言ってない」
「‥‥え?」
「神楽臨一朗と離婚してください」
修斗が再び
牙を剝いた。
「えっ」
「イエスと言うなら手紙は返しましょう。今すぐにでも」
「そんな‥‥無理よ。さっきもたくさん話をしたじゃない」
「ノーなら、この手紙は燃やします」
スーツのポケットから
ライターが現れた。
「ちょっと、修斗っ」
私をけん制するように
カチリ、と
着火されたライター
「今すぐ決断できないなら、今日からしばらく霧島に残るだけでも構いませんよ。
神楽での生活は本当にあなたの幸せなのか、ゆっくり考えるといい。
‥‥どうです?」
右手に手紙
左手にライター
修斗は両手を近づける。
「少しこの手紙の重要性を話しましょう。
俺は七年前、一ノ瀬柊の妹を襲った際に偶然見つけ、中を読みました。
まだ誰も読んではいないと妹は言っていました。一ノ瀬柊の出生にまつわる非常に興味深い内容が書かれていたので、俺は切り札になり得ると考え、奪い取り、現在に至ります」