禁断兄妹
第81章 つがいの鳥③
ツトムさんはどこからか飛んできて
何かありましたか、と緊張の面持ち
「ごめんね。ちょっと来て」
手を引き部屋へ招き入れて
「あのね、修斗は信用ならないからツトムさんにお願いするわ。
修斗が持っているあの手紙を今から言う電話番号の人と連絡を取って、渡して欲しいの」
「えっ?は、はい‥‥っ」
修斗はツトムさんへ手紙を手渡すと
疲れ切ったようにソファに身体を沈め
天を仰いだ。
私は暗記しておいた和虎君の番号を口にして
ツトムさんは手帳を取り出し書き留める。
「嬢‥‥」
書き終えて顔をあげたツトムさんは
言葉にならないような
感極まった表情
「その手紙は本当に大事なものらしいの。ツトムさんを信用してお願いするわ」
和虎君と繋がっているのは
ツトムさんなんじゃないかと
私は思っていた。
七年前に
ツトムさんの携帯を借りて和虎君へ電話したことを
覚えてる
手紙を取り返したいなら私を修斗に会わせろと助言したのは
きっとツトムさんだろう
「頼むわよ。お願いね」
「命に代えても、お渡しします」
「大げさね」
思わず笑った。
そして二人に向かって
「もうここへ来ることもないと思う。元気でね、ツトムさん。修斗。今日はありがとう。おじいちゃんのこと、よろしくね」
「嬢」
ツトムさんが
思い切ったような声を上げた。
「失礼を承知で言います。嬢は神楽臨一朗を本当に愛しているんですか?言葉や暴力で脅されて繋ぎ止められているだけなんじゃないですか?」