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禁断兄妹

第9章 運命の出会い


「‥‥ほとんど残してるじゃん」


俺は父さんの皿を引き寄せた。

家政婦さんの作るカレーは
唯一
昔母さんが作ってくれたのと味が似ていて
大好きだった。


「単に同じメーカーのルーを使ってるだけだけどね‥‥」


カレーを口に運びながら
サイドボードの上にある写真に目をやる。

家族三人で撮った
最後の一枚

体が弱くて
入退院を繰り返していた母さん

最後は風邪をこじらせて
あっけなく亡くなった。

病弱だったせいか
線が細くて
はかなげな笑顔が美しく
優しい人だった。

母さん

父さんは再婚する気らしい

まだ三年経ってないとか嫌味なことを言ったけれど
本当は
別にどうでもいい

父さんがしたいなら
すればいい

父さんの妻であって
俺にとっては誰が来ても
家政婦さんでしかない


「ご馳走さまっ」


一人きりのダイニングで
写真に向かって声を出す。


母さん

俺の母さんは
あなただけだ

これから先も

ずっと
ずっと

あなた一人だ

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