禁断兄妹
第83章 つがいの鳥⑤
霧島と神楽の関係や
慰謝料のこと
トラブルになっていないか心配だったけれど
私には離婚が成立したという情報が与えられただけだった。
「修斗がうまくやりよったわ。何も心配することはねえ」
ツトムさんを従えて
部屋にやって来たおじいちゃん
私を責めるようなことは
何一つ言わない
甘やかされているのだと
つくづく思う
迷惑ばかりかけて
恥ずかしくて情けなくて
身の置き所がなく
行く所もなく
ただ息をしている
それが今の私
「離婚も成立したことだし、お前の今後を考えようじゃねえか」
おじいちゃんは元気よく
ぱちん、と手を打った。
「霧島グループは県内に色々店を持っとるんだ。いつまでも病人みてえにここで寝起きしてるだけだと本当に病人になっちまうから、気晴らしだと思って少し働いてみるのはどうだ」
「うん。お店の店員でも事務仕事でも、なんでもするわ」
今の私は
霧島の加護なくしては暮らせない
「よし。週に何回かでもいいから、やってみろ。
それとな、ここじゃ息が詰まるだろうから、お前の家を探そうじゃねえか。どこか住みたい場所はあるか」
「どこでも構わないわ。ここでも十分だけど、迷惑かも知れないから、お任せします」
「まずは希望を言ってみろ。この家の近くが落ち着くか?それとも街ん中がいいか?」
おじいちゃんは
なんとか私に元気を出させようとしている
その気持ちが身に染みる
「考えてなかったから急には思いつかないけど‥‥ツトムさんはどう思う‥‥?」
ツトムさんは修斗が組長になる時におじいちゃんの補佐役に推薦されたらしく
よくおじいちゃんと一緒にここへ来る。
修斗とも密な繋がりがあるツトムさんを
私は頼りにしていた。
「はい。嬢には、フランスがよろしいかと」