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禁断兄妹

第83章 つがいの鳥⑤



「なるほどなあ、フランスとはなあ。さすが修斗は考えることが違う。たまげたわ」


おじいちゃんは愉快そうに笑いながら
私を見る。


「由奈、お前の目が輝いてきとる」


目尻を下げ
嬉しそうに


「どうだ由奈、フランスなんて壮大な話が出とるぞ」


「行ってみたいけど‥‥いいの?」


胸が燃えるように熱い
込み上げる涙を
必死で押さえる


「お前フランス語喋れるのか?」


「ほんの少しだけ。フランスは撮影で一度行ったことがあるの。その時に少しだけ勉強したわ。
 パリも良かったけれど、田舎が本当に美しくて素敵だったわ。お料理もワインもとても美味しかったの」


そうかそうか、と
おじいちゃんは
くしゃくしゃの笑顔


「どうせ七年も霧島に帰って来なかったお前だ、日本も海外も変わらんわ。三か月に一度帰ってくるだけ、ましかも知れねえ」


高鳴る胸いっぱいに
空気が満ちる
熱い血が流れる


「よし、わかった。お前をフランスにやろうじゃねえか。勉強するなり遊ぶなり、好きにしろ」


「本当‥‥?!あ、ありがとうおじいちゃん!ありがとう、ツトムさんも、修斗も‥‥ありがとう‥‥っ」


「おう、泣くな泣くな」


結局溢れ出してしまった涙
おじいちゃんがあやすように
私を抱き締め
背中を叩く。


「わしはいかんなあ。お前はわしの手元に置いておこうと思ってたんだがなあ」


着物姿の温かな胸
子供のように頬をこすりつけた。


「修斗が言うように、フランスで料理でも勉強して、レストランでも開くか?儲かりそうじゃねえか。わしは客で行くからツトムにはウェイターのバイトでもやらせろ。修斗はインチキソムリエだな。百万のワインでもあいつなら簡単にさばくぞ?アッハッハッ!」


「ふふ‥‥楽しそう」

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