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禁断兄妹

第83章 つがいの鳥⑤



フランス行きの話は
すぐに実現に向けて動き出した。

私が頭に描いている夢や希望を聞き取ったツトムさんは
写真入りの何枚もの資料にして
私のもとへ持ってきた。


「きっと嬢のお気に召すと思いますよ」


そこはパリから数時間離れた
自然豊かな美しい田舎町
おとぎ話に出て来るような可愛らしい家にホームステイしながら
語学学校と料理学校に通う

想像以上に素晴らしいプランが
まるで魔法のように
目の前で形になっていた。


「すごい‥‥こんな素敵なおうちに住めるの?」


「お美しい嬢にぴったりのお宅ですね。このバラの庭に嬢が立てばまさにフォトジェニック!バラの妖精のようです」


ツトムさんは私と二人の時は
以前のような人懐っこくて面白い素顔を見せる。
本当は忙しいだろうにおじいちゃんに命じられ
私のフランス行きについてプランを立ててくれている。


「ホームステイ先のご夫婦は裕福な七十代の老夫婦ですね。子供は独立し二人暮らし。仕事はもうリタイヤして、ホームステイの学生を受け入れたり畑仕事などをしてのんびり暮らしているようです。家庭料理を教わるには絶好ですね。庭のほかに畑や鶏小屋などもあるようですから、新鮮な食材も豊富でしょう。少し足を延ばせばワイナリーもありますから、ワインの勉強をされるのもいいですね」


「素敵。素敵すぎて夢みたいよ‥‥」


「とりあえずホームステイ先は学校の期間と同じ三か月で契約しておいて、そこでの暮らしが気に入れば現地で延長の交渉をしてはどうですか。延長せず自分で部屋を借りたり、働きたくなったらビザを取ってレストランなどで働いてもいいですね。フランスではなく今度は違う国へ行ったり、日本に帰って来てもいい。
 まあとにかく、まずはホームステイと学校、このプランでいきませんか」


「うん。ぜひお願いします」


「そうこなくては。ダメだしされると俺の労力がまた増えますんでね」


「忙しいのにごめんなさい、私何もしていなくて、ここにいるだけだわ」

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