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禁断兄妹

第83章 つがいの鳥⑤



私は修斗が来る時間に合わせて
ご飯を炊いてお味噌汁を作った。

あの頃のような普通の食卓にしたかったから
スーパーで買ってきた鮭を焼いて
きんぴらごぼうを作った。

料理を済ませ
後は修斗を待つだけ

部屋で語学の勉強をしていると
八時前に
修斗からの電話


「すみません、時間には行けそうもない」


「あら。何時に来れそう?」


「わかりません」


「そうなのね」


トラブルがあったとか
何か突発的な仕事が入ったんだろう


「あまり遅くなるとおばあちゃんの迷惑になりそうだから、今日はやめようか。
 知ってるかも知れないけど、おばあちゃんって寝るのがすごく早いの。遅い時間にキッチンを使ったり修斗が家を出入りするのは気がひけるわ」


「もう飯は作ってあるんですか」


「うん。後は食べるだけではあるけど」


「嬢は何時まで起きていますか」


「明日の午前中の便だから、十二時には寝たいわ」


「十一時には行きます。包んでもらえますか」


「包むって、持って帰るってこと?」


「だめなら諦めます」


「ううん。せっかく作ったんだし、わかった。包んでおくから、着いたら電話して。外で渡すね」


「はい。では後ほど」


お弁当箱はおばあちゃんに借りづらい
私はほぐした鮭を具にして
炊いたご飯を全部おにぎりにした。
きんぴらごぼうはアルミホイルに包み
お味噌汁は私がフランスへ持っていこうと思っていたステンレスボトルに詰めた。
日本に帰った時にでも返してもらえばいい

そして十一時を過ぎた頃
下に着きました、と
修斗から電話が来た。

降りていくと
玄関前に黒塗りの車が止まっていて
その前に
スーツ姿の修斗が立っていた。


「遅くまでお疲れ様、修斗。これ───」


「乗ってください」


「え?」


「まだ十一時十分だ。ドライブでもしましょう」

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