禁断兄妹
第84章 愛してない
修斗が住むタワーマンションの
最上階の一室
先に足を踏み入れた私の後ろで
ドアが閉まると
後ろから
吐息と共に
抱き締められた。
「嬢‥‥」
首筋に顔をうずめるように
唇が押し当てられて
振り向くように顔を上げた私へ
落ちて来た唇
車の中でした時よりも
熱く
官能的な口づけに
息が止まりそう
甘い水音が広い玄関に響いて
湿度を増す
二つの吐息
修斗は濡れた息を吐き出しながら
私を抱えあげると
部屋の中へ入った。
その間もやまない
口づけの雨
長い廊下を抜けた先の真っ暗な部屋は
カーテンが開いたままで
宝石を敷き詰めたような夜景の海が
どこまでも広がっていた。
その絶景を臨むように
広い部屋の一角に作られている
キングサイズのベッドコーナー
シーツの上に
静かに下ろされて
降りしきる
口づけの雨の中
コートもパジャマも
あっという間に取り払われていく。
そのままパンティにも
手をかけられて
「待って修斗、シャワーを浴びたい」
「浴びなくていい‥‥待てない」
修斗は荒っぽくネクタイを外すと
着ていたスーツもシャツも下着も
全てを脱ぎ捨てた。
「俺に浴びて欲しいと言うなら、浴びてくる」
上半身を起こしている私の目の前で
膝立ちになっている修斗
何も身に着けていない裸身が
窓の外から届く星明かりに浮かび上がって
思わず息を呑んだ。
壮絶なほど鍛え上げられた
鋼のような身体
それを極彩色に彩る
凄まじい刺青
そして
既に完全に昂っている
修斗自身
そのあまりの存在感に
圧倒される。
「ううん‥‥修斗がいいならいい。このままでいい‥‥」
茫然と呟いた私の背中に
太く逞しい片腕が回されて
静かに押し倒されながら
浮かされた腰
するりと抜かれたパンティが
シーツの上に落ちた。
「綺麗だ‥‥嬢‥‥」
感じ入るような深い声
生まれたままの姿を
陶然とした眼差しになぞられて
身体の奥が
密やかに燃え上がる。