禁断兄妹
第9章 運命の出会い
三十分程車を走らせて着いたそこは
隣の市の高台に建つマンションだった。
車を降りた父さんと共に俺も車を降りた。
海が近いせいだろうか
潮風の香りが心地いい。
「ちょっと迎えに行ってくるから。ここで待ってろ」
「電話して呼べばいいじゃん」
「‥‥待ってろ」
父さんの背中を見送りながら
俺はポケットから携帯を取り出した。
車にもたれながらゲームを始める。
これから父親の再婚相手に会うというのに
俺にはなんの緊張もなかった。
もともと緊張も人見知りもしない俺は
すぐにゲームに熱中して
足音がすぐそばに近づいてくるまで
まったく気がつかなかった。