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禁断兄妹

第88章 ギフト



生真面目な声が降ってきて
私と目線を合わせるように
灰谷さんもゆっくりとしゃがみ込んだ。


「手紙にまつわる経緯は、柊さんから聞いてみてください。それと‥‥」


灰谷さんは思い切ったように口を開いて


「気になっているかも知れないのでお伝えしておきますが、当時のあなたの携帯電話を持っているのも、柊さんです」


「そうですか‥‥」


驚きはなかった
もし今もあの携帯がどこかにあるなら
それは柊のもとしかないと思えたから


「あの携帯の中には、柊には見せたくない写真が残っていたのですが‥‥柊がそれを見たかどうか、知っていますか‥‥?」


「‥‥彼は、見ています‥‥」


私が病院に運ばれた時に着ていた制服は
汚され切り裂かれていたこともあって
灰谷さんの友人の看護婦さんが誰にもわからぬよう処分してくれたそう

でも制服のポケットに入っていた携帯は
柊が預かることになって

そして柊は
携帯に残されていた写真から
私の身に起こったことを知り
それまで無言を貫いてきた灰谷さんに
全てを話せと激しく迫ったのだと言う


「そうだったんですね‥‥」



あの写真を見てしまったのね

どれほど傷ついただろう

想像しただけで
胸がえぐられるよう


「柊が傷つくから言わないで欲しいと、あの時あなたは言いましたよね。
 確かに、私が知り得る全てを話した時、彼は大変なショックを受けていました。無残なほど傷ついていました。

 ですが、彼はそれで終わるような男ではありませんでしたね‥‥
 
 その忘れ得ぬ傷から血を流したまま、強くなっていった。直情的で自己中心的な性格も変わって、懐の広いタフな男になっていった‥‥」

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