禁断兄妹
第9章 運命の出会い
ガキは俺と目を合わせたまま
もぞもぞと動き始めた。
「起っきするー?萌ちゃん」
君島さんが声をかける。
「‥‥」
ガキは無言のまま
俺に向かって両手を伸ばした。
へ?
「んー」
甘えるような鼻声。
「あは、柊君に、起こしてって言ってる」
君島さんはパチンと手を合わせて笑った。
は?
起こして?
ガキは早くしろと言わんばかりに
じれったそうに身体を揺する。
お、俺か?
「柊君、だっこできる?」
「え、いや、したことないです」
君島さんはガキの脇の下に両手を入れてひょいと持ち上げると
笑顔で俺に差し出した。
え
ガキは小さな両手を無言のまま伸ばしてくる。
「え、あの」
動揺する俺にかまわず
君島さんは俺の胸にガキを押しつけた。
うわっ
「左手でお尻支えてー‥‥そう、そして右手で背中のあたり‥‥うん、そう」
俺は夢中でガキの身体を支えた。
「落とすなよ、柊」
父さんが心配そうな声をだす。
「うん、それで大丈夫よ。重たい?」
「あ、いえ」
ガキは要求が通って満足したのか
おとなしく俺の胸に頬をつけて
身体の力を抜いている。
寝起きのせいなのか
しっとりと熱い体
ミルクのような甘い匂い
普通の二歳児がどれくらいなのか知らないけど
すげー小さく感じる。