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禁断兄妹

第9章 運命の出会い


「柊君のこと気に入っちゃったのかな。萌ちゃん珍しいねぇ」


君島さんが嬉しそうに笑う。

小さな手は俺のシャツの胸の辺りを握ったり離したり
俺からはつむじが見えるだけで顔は見えないけれど
機嫌がいいんだと
安心しているんだと
肌で感じる。

不思議な感覚だ。


「‥‥小さいですね」


「うん、まだ九キロないの。同じ年の子と比べると身長も低くて。言葉も遅いし、ちょっと心配なくらい‥‥」


君島さんは少し顔を曇らせた。


「甘えん坊だし‥‥私が甘やかすからなんだけど」


「大丈夫、すぐ大きくなるさ‥‥なー」


目尻を下げた父さんがガキの頬を指でつつく。

でれでれしちゃって
じいさんと孫みたいだな


「よし、じゃあ萌ちゃん、柊君が重たいだろうからこっちおいでー」


君島さんがガキの脇の下に手を入れて
俺から離そうとすると


「んー」


ガキは首を振りながら
俺のシャツをぎゅっと掴む。


「んーじゃないよ、萌ちゃんほら」


「やーだー」


おっ
喋った

喋れるんじゃん


「‥‥大丈夫です、俺このまま座りますから‥‥な、一緒に座ろう」


最後の方はガキに話しかけるように言葉を発した俺に
父さんが目をしばたく。

だよな

俺も自分で驚いてる。

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