禁断兄妹
第89章 禁断兄妹
「───努力の積み重ねだけが、階段を作る‥‥」
語り終えた萌に
KENTAROは閉じていた目を眩しげに開けて
ありがとう、と
呟いた。
その言葉を最後に
立ち去ろうと
視線を流したKENTAROに
「KENTAROさん。最後にこのお話も、聞いて頂けませんか」
萌はおもむろに
手にしていた手紙の封を切った。
「!!」
虚を突かれたのは
俺もKENTAROも同じ
萌は取り出した便箋を広げながら
「受け取って頂けないなら、今私が読みます。聞いてください」
「‥‥っ」
KENTAROはかぶりを振りながら
後ずさる。
「今KENTAROさんが苦しいのは、この手紙を読んでいないからです。心優しい夏巳さんが書いた手紙です、きっと愛に溢れた手紙のはずです」
「やめろ、愛に溢れていようが、なかろうが、そんなことは関係ない」
「読まなければ、傷は癒えません。これからもずっと苦しまなければなりません」
「苦しみ続けるつもりだ、当然の報いだ、だって俺は‥‥!」
「‥‥俺は‥‥?」
息が止まるような
沈黙
「‥‥妹の夏巳を‥‥無理やり抱いたのだから‥‥」
掠れ声
呻くように
───無理やり抱いた───
そうか
やはりそうだったのか
「俺は夏巳に言った。一生憎めばいい、許さなければいいと。俺は夏巳に誓った。もう二度と会わないと、もう二度と、一切関わらないと‥‥っ」
無理やり夏巳を抱いたKENTARO
その光景も想いも
俺には息をするように自然に想像できた。
禁忌の愛
一生憎まれても
もう二度と会えなくなっても
それでもいい
抱きたい
俺が萌を無理やり組み敷いて
挿入れようとしたあの夜と
よく似ている
最後には
思いとどまった俺
最後まで
強行したKENTARO