禁断兄妹
第89章 禁断兄妹
「こんな俺が、今更、夏巳の言葉など欲しがってはいけないのに‥‥っ」
KENTAROは声を震わせ
項垂れた頭を両手で抱える。
欲しがってはいけない
そう自制しながらも
喉から手が出るほど
この手紙を欲している
あまりにも痛々しい葛藤
KENTAROの告白を黙って聞いていた萌は
深く頷いて
「‥‥では、これから私が話すのは、私の独り言です‥‥」
凛とした声で宣言すると
萌は深呼吸して
「謙太郎へ。
謙太郎。今あなたは幸せですか?───」
凍りつくKENTAROへ語りかけるように
萌は手紙を読みあげ始めた。