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禁断兄妹

第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①


札幌の街に着いた私達は
バスの中でプランを立てた通り
大型のショッピングモールへ行って
お買い物

寝具やタオル
私は泊まることを考えずにバッグ一つで来てしまったから
歯ブラシや着替え
基礎化粧品のトラベルセット

夕食もレストランには行かず
買って帰ることにした。

私も柊も
早く二人きりになりたかったし
気兼ねなく話をしながら食事がしたいねと
意見が一致した。

もう手は繋いでいないけれど
二人であれこれショッピングを楽しみながら
なんだかデートみたい
そんなことをそっと思っていたら


「こうして二人きりだと、デートしてるみたいだな。まあ、ほぼそのものだけどね」


降り注ぐ
甘やかな囁きと微笑み


「うん。楽しいし、嬉しい」


「ふふ、俺もだよ」


私が記憶を失ってまもなくの頃
海外に活動拠点を移した柊

日本に帰って来た時は
いつも家族みんなが揃っていて
こんな風に二人きりになる機会はほとんどなかった。

柊は私に対して
変わらず優しかったし
ずっと愛情深かったけれど

今柊が私に向ける全ては
昨日までの『お兄ちゃん』としてのものとは違う

そして私も
昨日までの『妹』の私ではない


七年前
私達が互いの想いを確かめあって
恋人関係になった
短くも濃密な期間

あの頃とも
今の私達は
違う気がする

私へ向ける
今の柊の眼差しが
それを物語る


「これからは二人で色々なところに行こうな。日本中、世界中、萌と行きたい場所がたくさんあるんだ」


「うん。色んな景色を、柊と一緒に見たい」


「見に行こう。一緒に」


深くて
静かで
燃えるように熱くて

深く熟成されていながらも
新鮮な輝きに満ちている

新しい二人の世界が

ここにある

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