禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
柊はその瞳を
ほろ苦く細めて
「俺こそが、禁忌の子供だったのさ‥‥」
言葉が出てこない私に
柊は静かに
でもしっかりとした声で
お父さんの手紙に書かれていた内容や
その真実を確かめる為に
北海道へKENTAROさんに会いに来たこと
私が現れる前に
KENTAROさんとどんなことがあったのかを
話してくれた。
想像もしていなかった真実
お父さんと
夏巳さんと
KENTAROさん
三人がもがき悩み苦しんだ
壮絶な物語
───お前さえいなければ、夏巳は今も生きていたんじゃないのか‥‥?!───
───あらゆる手を尽くしたのか?お前らは夏巳の側にいながら、一体何をしていたんだ‥‥?!───
逆上したKENTAROさんから投げつけられた言葉も
淡々と
穏やかに語る柊
散々勝手なことを言われたけれど
彼の気持ちもわかるし
萌のお陰で最後には和解できたから、と
遠くを見つめる。
「彼からもらった髪の毛と俺の髪の毛を検査しなければ確定はできないけどね、結果はわかりきっている。本能的にわかるよ。おそらく彼もそうだろうね」
そう言って柊は
口に運んだワイングラスを一息にあおった。
「だからね萌、俺は一ノ瀬巽の子供じゃない。俺達は兄妹じゃない。
けれど俺は禁忌の子だ。今まで奇跡的に五体満足に生きてきたけれど、遺伝的な問題を内包しているのは確かだろう。こんな俺でも‥‥それでも───」
柊は言葉に詰まった。
けれど私へ向けられた柊の瞳が
囁いていた。
それでも俺を愛してくれる
「柊‥‥っ」
厚い胸に両手を回して
強く抱きしめた。
柊
あなたがどんなに傷ついているか
胸に押し当てた頬から
伝わる
「愛してるに決まってるじゃない‥‥っ」
兄妹だとしても
そうじゃなかったとしても
何も変わらない
それでも
どんな柊でも
何も変わらない
あなたを丸ごと全部
全部
愛してる
愛してるの
「ありがとう、萌‥‥」
深く囁いて
包み込むように
抱きしめてくれる柊
その身体も
息遣いも
僅かに震えていて
それが私の胸を
狂おしくかきむしった。