禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
笑顔に瞳を細める柊
二人かわるがわる食べさせ合って
子供みたいにじゃれあって
楽しくて
ときめいて
幸せで
「‥‥萌、俺ピーマンはいらないよって言ったよね」
「えー、これはパプリカでしょう?」
「どう見てもピーマンだろ。バカ、やめろ」
「あはは」
「俺をいじめるとくすぐりの刑にするぞ」
「きゃー!」
「落ちる落ちる、あっはっは」
愉快そうな声を上げ
身体を揺らし笑う柊
「可愛いなあ。本当に可愛いな‥‥」
私を抱きしめ髪を撫で
この上ない微笑みを浮かべる柊
柊の笑顔に心満たされながら
気がついたこと
私は無意識に
柊の笑顔を求めている
柊を愛しているなら
どんな表情も等しくいとおしいはずなのに
ずっと笑顔を見ていたい
笑顔でいて欲しいと
思ってしまっている
私が無意識に抱いているこの思いが
柊に涙を堪えさせるのかも
しれない
「‥‥どうした?」
この思いは
柊も同じなのかな
私に笑顔でいて欲しい
曇れば心配になる
同じなのね
鏡みたい
「ねえ柊‥‥私が記憶を取り戻した経緯とか、話してもいい?」
「ああ勿論。聞かせて欲しいな」