禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
柊の膝の上
背中に温もりと
ウエストに回された両手に安心感を感じながら
私は話し始めた。
柊に対してずっと感じていた言葉にならないような想い
それがついに溢れ出すように
永遠の愛が入っていると言っていた柊のペンダントを
衝動的に開けてしまったことが始まり
自分の名前が彫られたリングを見た時の驚き
苦しいほどに心が揺れて
一人では抱えきれずに和虎さんに相談して
自分の本当の気持ちを見つめてみなさいとアドバイスをもらったこと
その何日か後に
たかみちゃんとタカシ先輩と三人でご飯会をした時のお店が
偶然あのヒカリっていうお店だったこと
「和虎と三人で行ったヒカリ‥‥?すごいな」
「うん。お店にいる間中ずっと、とても不思議な、懐かしい気持ちになって‥‥思い出せないけれど、私は昔ここに来たことがあって、幸せな時間を過ごしたはずだって感じたの」
そして帰り際にタカシ先輩から
もう記憶を取り戻す気はないのと問い掛けられて
あります、と反射的に答えた自分に
自分でもびっくりしたこと
「そのことが、記憶を取り戻そうって決心する大きなきっかけになったんだ‥‥」
「そうか‥‥タカシに感謝だな」
「うん。後でちゃんと電話をしようと思ってる」
タカシ先輩は
記憶を取り戻そうっていう気持ちが私にあると知って
とても喜んでくれた
すごく嬉しそうだった
───一ノ瀬にそういう気持ちがあるってわかっただけでも、すごく嬉しいよ。
全部を自然に受け止められるようになってきたってことだろ?傷が癒えてきたってことだろ?良かった‥‥───
───なあ、俺も予約を入れといていいかな。もし記憶が戻ったら、俺への返事を考えてくれないか───
先輩に
私の愛する人は柊だと伝えるのは
心苦しい
でも
きちんと伝えなくてはならない
「タカシは相変わらず萌のことが好きなんだろう?」
確かにそうだけれど
私がうんと言うのは微妙な気がして
「うーん‥‥タカシ先輩には彼女がいることもあったから、わからないけど‥‥」
「若くて人気のある男が七年も萌に操を立てていたら、逆に重いじゃないか。ある程度女性関係がありながらも、萌を想い続けていたんだろう」
柊の言葉に
思わず
「‥‥柊は‥‥?」