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禁断兄妹

第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①


私の言葉に
柊は少し黙ってから


「萌。彼が今までと同じように接してくれると、期待してはいけないよ。冷たくされることも、萌のもとを離れることも、覚悟しておかなくてはならないよ」


思いがけない言葉に
はっとした。

私は心のどこかで
タカシ先輩は変わらず側にいてくれると思っていた。


「でもね、彼が恋愛感情を越えて、それでも萌の先輩として、友人として、在り続けてくれると言うなら‥‥そういう絆は人生の中で貴重だと俺は思う。彼との関係を一生大事にしなさい」


暖かく真摯な声
顔を上げた私の頭を撫でてくれる柊


「もし先輩が、恋愛感情を越えてこれからも私の側にいてくれるって言ったら、私は先輩のことを一生大事にしてもいいの‥‥?」


「ああ。俺のジェラシーは消えないかも知れないけれど、萌の交友関係は、萌が決めて選ぶべきだから」


柊はいつも私の決断と行動を尊重して
信じて見守ってくれる

恋人としての
燃えるように官能的な愛だけじゃなくて
もしもお父さんが生きていたらそう言ってくれたかもしれない
そう思うような
父性を感じさせる大きな愛


「ありがとう、柊‥‥」


柊の愛は私を深く満たし
包みこんで

グラスは泉のように湧き上がる想いで
満ちてゆく

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