禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
柊に話したことで
全ての出来事は私一人のものではなくなって
手を繋ぎ
一緒に追体験した感覚
苦しみは淡く
喜びは鮮やかになった
そんな気がする。
「話に夢中になってしまって、食事が進まないな」
柊の言葉通り
食べることよりも会話に夢中で
テーブルの上にはまだおかずがいっぱい。
「よし、食べ終えてしまおうか。みんなに電話をしなきゃならないしね。そしてお風呂に入って、ゆっくりしよう」
「うん」
そして夕食を終えた私達は
二人で片づけをした後
柊の携帯電話からお母さんに電話をした。
「明日帰ってからきちんと話すけど、萌の七年前の記憶が戻ったんだ。萌はそれを伝えに、俺がいる北海道まで来てくれてね───」
私達が恋人関係にあることは電話で言えるような話じゃないから
明日家に帰ってから直接伝えようということになって
今日のところは柊がお母さんにうまく説明してくれた。
最後に私も電話を代わったら
お母さんは涙ぐんでいて
私が記憶を取り戻したことをとても喜んでくれていた。
「まさか今になって昔の記憶が戻るなんて、お母さん本当にびっくりよ。しかも柊に会いに北海道に行っただなんて、びっくりし過ぎちゃって‥‥
とにかく、記憶が戻って本当に良かったね、萌。
萌は自分で考えて、一人で行動したのね。大人になったのね‥‥」
「何も相談してなくて、ごめんなさい。びっくりさせちゃった」
「ううん、いいのよ。いいの。巽さんもきっと喜んでいるわ‥‥」
そして
柊と一緒で安心したと
明日二人が帰って来るのを楽しみに待っていると言ってくれた。
通話を終えた電話を柊に返しながら
「お母さん、今でさえすごくびっくりして興奮してるのに、柊と私が愛し合ってるって聞いたらどうなっちゃうんだろう」
「ふふ。まあ驚くだろうね。ソフトに伝えよう」