禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
お母さんへの電話の後は
和虎さんに
灰谷さんと一緒にご飯を食べていたらしくて
ちょうど良かったと柊は笑って
「祝勝会?はは、なんのだよ」
柊はリラックスした表情で
私と無事会えて今は自分のマンションにいることや
明日東京へ帰ることを伝えて
ありがとうな
お前たちのお陰だよ
そう繰り返した。
最後に電話を代わってもらった私も柊と同じように
感謝の言葉を二人に伝えた。
「萌と柊兄の愛にヒロと乾杯してたのよ。本当に良かったね萌。おめでとうね」
「萌さん、私は本当に感無量です。おめでとうございます」
それぞれの人柄が滲む祝福の言葉をもらって
四人でご飯を食べに行く約束もして
幸せな気持ちで電話を終えた。
そしてタカシ先輩へは
私の電話から
柊はさりげなくその場を離れて
私は気持ちが引き締まるのを感じながら
タカシ先輩と向き合った。
私からの電話に嬉しそうな声で
どうした、と言ってくれる先輩
「あの、私、先輩に伝えなければならないことがあって」
そう切り出した私に
タカシ先輩は一瞬黙ってから
「うん。聞くよ」
記憶を取り戻せたことを報告すると先輩は
そうか、と
笑顔が見えるような声で
本当に良かったな、よく頑張ったな、と
温かな言葉をかけてくれた。
「なあ一ノ瀬、俺への返事の為に、電話をくれたんだよな」
「はい」
先輩はくすっと笑った。
「そんなに固い声をして。一ノ瀬の言いたいことは、もうわかったよ」
「えっ」
「記憶が戻って一番に考えたのは、俺のことじゃないんだろう?」
思いがけない言葉に
ドキンと胸が波打った。
「先輩‥‥」
「一番に考えたのは、柊さんのことだね」
先輩
わかってたの
「ごめんなさい、先輩‥‥ごめんなさい‥‥」
「謝ることはないよ。そうなんじゃないかと七年前から思ってたんだ。覚悟はしてた」
七年前から
そうだったんだ