禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
ドアが開く音がして
夢から覚めるような感覚
柊は冷蔵庫から出したペットボトルを手に私のもとへ来て
傍らに立った。
頭にバスタオルを被り
Tシャツにスウェットというルームウェア姿
上半身の厚みや逞しい両腕が露わで
胸の奥がどぎまぎと騒ぐ。
「雪を見てたのか」
「うん」
「俺もここに座って、外を見るのが好きだよ」
「ここ、座る?」
「いや、俺はこっちでいいよ」
柊はフローリングの上に敷いた布団の上に座り
壁に背中を預けた。
片足を折り
もう片方を投げ出して
封を切ったペットボトルに口をつける柊
仄かな灯りに
上下する喉仏や
研ぎ澄まされた筋肉の陰影が浮かび上がって
一枚の美しい絵のよう
「カッコいい‥‥」
素直な気持ちを口にした。
驚いたように手を止めた柊は
きゅっと手の甲で唇を拭いて
「よせよ、びっくりした」
「だって本当のことだもの」
見つめた柊の瞳が
熱っぽい微笑みに細められて
「萌も綺麗だよ。これも本当のことだ‥‥」
艶めいた視線に強くなぞられて
パジャマの下の
ブラジャーをつけていない胸の先端が
じん、と
不意に疼いた。
この感覚には
覚えがある
固くなっていく二つの頂き
戸惑いと
ときめきに
思わず両手で自分の胸を抱いた。
柊は視線をほどくと
ふふっと甘く微笑んで
「‥‥今日は疲れただろう。もう寝ようか」
「う、うん」
そして私を寝室に案内してくれた。
「明日の飛行機は午後の便だし、目が覚めるまでゆっくり寝てていいから」
「うん。おやすみなさい」
「おやすみ、萌」