禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
「柊」
呼び掛けながら
私は部屋の中へと足を踏み入れた。
「!」
息を呑む気配
ばさりと衣擦れの音
歩みを進めた私の視界に入った柊は
お風呂上がりの時と同じように
壁に背中を預けて布団の上に座り
腰から下をタオルケットで覆っていた。
微かに肩を上下させ
じっと私を見つめている柊に一歩一歩近づいて
そして私は
柊の正面に立った。
「‥‥どうした萌。眠れないのか?」
ぎこちなく微笑む柊に
頷いた。
「そうか。俺も、眠れなくてね」
柊は私の視線を避けるように俯くと
タオルケットの上に出ている両手を
静かに握りこんだ。
「柊」
「うん?」
顔を上げ
私をどこか切なく見つめる柊へ
「愛してる‥‥」
ふっと煌めいた瞳
次の瞬間
花がほころぶように
この上もなく優しく微笑んで
「俺も愛しているよ」
柊に愛を囁けば
必ず還る
揺るぎない愛
絶対的な安心感
それがどれだけ人を強くするのか
柊
あなたに見せたい
「柊、お願いがあるの」
「何かな」
「私のことを、見て欲しいの」
「見る‥‥?」
一歩踏み出した私に
柊の瞳がはっと見開かれた。
その熱視線を引きつれて
柊と向かい合うように布団の端に座った私は
パジャマのボタンに手をかけた。
茫然と凍りついている柊の前で
上から一つずつ外していく。
指が震え
心臓が早鐘のように鳴る。
「だめだ、だめだ萌」
静寂を破って柊の声が飛んだ。