禁断兄妹
第91章 禁兄 The Final~Love Never Dies~①
鎧のような腹筋から続く
引き締まった下腹部
その精悍な身体の真ん中に
雄々しい柊自身がそびえ立っていた。
それは命を誇示するかのように力強く張りつめ
天をさして固く反り返り
先端は笠を開くように膨れ
濡れ光っていた。
純粋な欲望を高らかに謳う
あるがままの命の姿
なんて美しいの
「怖く、ないか」
問い掛けられて
我に返った。
怖い
ううん何も
だってこんなにも美しく
いとおしい
「何も怖くない。何も」
七年前に襲われた時に目にしたはずの
見知らぬ男の男性器は
もう思い出せない
あの時の恐怖や絶望は
今この時と何も結びつかない
光を放つような柊の裸身は
私の忌まわしい記憶を
一瞬で上書きしてしまった。
「本当か?」
「うん。本当よ」
私は立ち上がり
柊と向かい合った。
私も柊も
蜜に濡れた生まれたままの姿
互いの瞳に映して
「私の胸の中には、七年前からずっと、見えないとげが刺さってたのかも知れない‥‥バスの窓から見た、あのつららみたいな、冷たくて固いとげ‥‥」
とげは男性に対しての恐れとなり
性の悦びを封じた。
「でも、そのとげは、もう何もない‥‥柊が私の心も身体も温めて、熱くして、溶かしてくれたの」
「萌‥‥」
そして私は
柊へと一歩近づいた。
「柊のとげも、溶かしてあげたい」
切れ長の瞳に灯る炎が
鮮やかにゆらめいた。