禁断兄妹
第10章 時は流れて
俺の言葉に和虎がフンと鼻で笑う。
「どーせ萌が熱出したとかそんなんでしょ。それ仮病よ」
俺は思わず吹き出した。
「違うって。出かける約束してるんだ」
「えー、どこ行くの?」
「近所の神社の夜店。連れていく約束したんだ」
「やーん楽しそう!アタシも行くー!イチゴ飴食べたいー!」
「アホか。一人で行けよ」
撮影が終わって
急いで帰り支度を始める俺を
壁から顔だけ出した和虎が恨めしそうに睨む。
「本当にアタシを置いて帰る気?萌のこと、いつ紹介してくれるのよ」
「あのねー‥‥あいつまだ中一だし。お前は刺激強すぎるよ」
「‥‥普通の話し方すればいいのかよ?」
和虎がカッコつけた顔で男っぽく喋る。
「だとしても会わせねーよっ。二人で行く約束だ」
俺の言葉に和虎がまた頬を膨らませる。
「二人きりなんていやらしい!何するつもり?!ヒワイよ!」
「だからそういうとこが駄目なんだって!」
「ふーんだ、柊兄なんてさっさと告白して、さっさと振られちゃえばいいのよっ!」
「はは、うるさいよ」
残念がる和虎を残して
俺は足早に家路を急いだ。