禁断兄妹
第10章 時は流れて
歩くうちに
俺達から少し離れて歩いている女の子の集団が
こちらをチラチラ見ていることに気がついた。
俺を見上げて話している萌は気づいていない。
「萌、あれ友達じゃないか?」
「えー?」
振り向いた萌に
女の子達は足を止めて歓声をあげた。
「あー、やっぱり萌ちゃん!」
手を振りながらわらわらと近づいてくる
五、六人いるだろうか。
「わー、みんなー!」
萌も嬉しそうな声をあげて駆け寄る。
「すごーい、偶然ー!」
「ねー」
「その浴衣超可愛いー」
みたいな
女子っぽい会話で盛り上がり始めた。
中学校の友達なんだろう
楽しそうに話している姿は微笑ましかったが
道の真ん中だ。
「‥‥萌、もう少し道のはじに寄りなさい」
俺がそう声をかけると
女の子達が一斉に俺を見た。
「こんばんは」
俺はみんなに向かって微笑みかけた。
「‥‥こんばんはー!」
素直に道のはじに移動しながら
みんな興味津々の顔で俺を見ている。
「も、萌ちゃんのお兄さんですか?」
その内の一人が思いきったように話しかけてきた。
緊張してるのか
ぎこちない喋り方が可愛らしい。
「そうだよ。萌がいつもお世話になってるね」
「あ、いえっ」
きゃーんとか
カッコいいーとか
女の子達の小さな声が聞こえる。