禁断兄妹
第12章 コイワズライ
「‥‥もしもし」
父さんの声は依然として固い。
「もう大丈夫?」
「ああ。どうした?」
「萌のことなんだけど」
俺はできるだけ落ち着いた声で切り出した。
「‥‥萌がどうした」
声に固さが増したような気がする。
「あいつに本当のこと、いつ言うつもりなの」
長い沈黙
「‥‥何かあったか」
声に
緊張感が加わった。
「いや、何もない。萌はまだ、何も気づいてない」
「‥‥」
「でも、もう中学生だ。これ以上事実を伏せる必要があるの?俺には理解できない」
「‥‥」
「父さんも母さんも話せないなら、もう俺が話す。それだけ言いたかったんだ」
「‥‥萌と、何かあったのか」
沈黙の末に
父さんが発した一言に
今度は俺が黙る番だった。
萌と
何か
どういう意味だ
父さん
何が言いたい
「‥‥どういう意味だよ」
「そういう意味だ」
父さんの声には
何かを探るような
不穏な匂いがした。
大人として
男として
俺の言ってる意味がわかるだろう
そう言ってるような気がした。
まさか
俺が萌に特別な愛情を持っていることに
気づいているのか
俺は心臓の音が速くなっていくのを感じた。