禁断兄妹
第12章 コイワズライ
「なんだよそれ‥‥何もねーよ」
俺の声には苛立ちが混じって
それを察したのか父さんは
すまん、と呟いた。
父さんや美弥子に
俺の気持ちはまだ知られたくはない
いずれ話すとしても
それは俺が萌に想いを伝えて
俺達が結ばれた後の話
それに何より
萌はまだ中学一年生だ
俺は萌を心から愛しているけれど
誓って
性的ないやらしい目で見たことは一度だってない
萌にキスしたいと思うことはあるけれど
父親が幼い娘にしたくなるようなもの
実際にしたことは勿論ないし
萌に手を出すとか
そういう目で見てるとか
もしそう思われたとしたら
心外だ。
「じゃあもう少し待ってくれ。二週間後には家に帰る‥‥お前と話したい」
「は?‥‥俺じゃない。萌の話をしてるんだ」
「‥‥お前と直接話がしたいんだ。萌の件は、それからにしてくれないか」
父さんは強い口調でそう言うと
俺に了解を求めた。
これから二週間なんて長すぎる
待ってられるか
俺はそう突っぱねたけど
父さんは
頼む、と言ったきり
黙ってしまった。
結局
俺は父さんの帰りを待つことを約束して
それで電話は終わった。
その電話から一週間経った
そしてもう一週間
俺は父さんの帰りを待たなければならない。