禁断兄妹
第12章 コイワズライ
「そっか‥‥」
黙って俺の話を聞いていた和虎は
複雑な表情で天井を見上げた。
「なんなんだろ‥‥気になるね。お父さんの真意」
「ああ」
俺達の間に沈黙が流れた。
「反対するとか?」
和虎が首を傾げる。
「かもな」
連れ子同士が付き合うなんて
父さんは快く思わないかも知れない
世間体もあるだろう。
「なるほどね‥‥柊兄が悩ましい顔になるのも、無理ないか」
和虎はため息混じりに呟いた。
再び俺達の間に沈黙が訪れて
暗いムードになってしまったのを気にしたのか
和虎は腕組みしていた手をほどくと
明るい声を出した。
「ま、反対されたらその時は説得するしかないね」
「まーな」
「それにしても理想の人かあ。やったじゃーん」
そう言って俺を肘でどつく。
「‥‥いてーよ」
「そんなこと萌に言われたの、初めてなんじゃない?」
「まあ、そうだな」
「なんか、両想いっぽいねっ」
「‥‥」
両想い
なんだか胸の奥がくすぐったい。
俺は気恥ずかしくて
どうかな、と
気のない返事をした。
俺が照れていることを
完全に見透かしている和虎はニヤニヤ笑っている。
「理想の人って言われただけでそんなポーッとなっちゃうなんて、柊兄って可愛いね」
「‥‥」
「嬉しかったんだ?かなり嬉しかったんだ?」
俺の顔を覗きこんで、可愛いーと笑う和虎を
俺は肘でどつき返した。
「でもー、理想は理想だからね」
和虎はニヤリと笑うと
チッチッと顔の横で人差し指を振る。
「理想の人は柊兄だとしても、萌の現実には、同じ年の彼氏がいるかもよっ」
「はん、そんなガキ蹴り飛ばしてやる」
「何言ってんの。柊兄だって現実には彼女いるでしょ」
「もういねーよ」
「え?」
「別れた」
「えー?!」