禁断兄妹
第14章 地獄への入り口
───‥‥柊 私 もうだめかもしれない‥‥───
ずっと胸の奥底に封じ込めていた
母さんの
最期の時の記憶
酸素マスクをつけられて
苦しそうに肩で息をしながら
涙をぽろぽろこぼしてた
思い出したくないのに
堰を切ったように溢れだして
俺を飲み込んでいく。
母さん
死んじゃ嫌だ
父さんが今来るから元気だして
もう少し待って
母さん
母さん
柊
お父さんのことお願いね
助けてあげて
力になってあげて
柊
愛してるわ
ずっと
あなた達を見守ってるから
嫌だ
待って
父さんを呼ぶから
待って
俺は病室で携帯をかけた。
もう医者達は止めなかった。
お婆ちゃんがかけた電話で母さんの危篤を知った父さんは
病院に向かっているはずだった。
父さん?父さん!
母さんが死んじゃうよ
今どこ
早く来て
すまない
プレゼンが押して
今向かってるから
すぐ行くから
今母さんと代わる
死んじゃわないように言って
早く