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禁断兄妹

第22章 俺はもう、あいつのことは忘れる


俺から三つ離れた椅子に腰掛けた眼鏡は
キープボトルを出してもらって
ママ相手におとなしく一人で飲みだす。

俺と和虎は二人で
どうでもいい昔話をしたりしていた。

しばらくして和虎がトイレに席を立つと
ママ相手に話をしていた眼鏡は
俺の方へ身体を向けた。


「‥‥あなたが柊さんなんですね。初めまして。要です」


俺から目を離さずに
小さく会釈する。


「どうも」


俺も会釈を返す。


「和虎君から話はよく聞いてます‥‥オーラが半端ないですね。和虎君の言う通りだ」


物腰は穏やかだが
俺を値踏みするような不躾な視線
無言の俺に眼鏡は微笑んだ。


「でもノンケなんですよね?」


「‥‥ああ」


「ノンケの親友に片想いか‥‥生殺しだ」


眼鏡は俺から目を逸らさずに
タバコに火をつけた。

和虎に気があって俺に嫉妬心を起こす奴はたまにいる
こいつもその部類か

俺が黙って見返すと
眼鏡はフッと笑った。


「すごい目‥‥凶器みたいだ」


俺は肩をすくめて眼鏡から目を逸らした。

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