
禁断兄妹
第22章 俺はもう、あいつのことは忘れる
トイレから出てきた和虎は
気まずい顔をしているママと俺の方を向いている眼鏡を見て
雲行きが怪しいことを察したのか
眼鏡から俺を遮るように
眼鏡側の俺の隣に腰掛けた。
「ちょっとー、アタシがいない間に、何話してたの~?」
俺達を交互に見る和虎に眼鏡が笑いかける。
「柊さんが、いい男だって、話」
「でっしょー?マイダーリンなの」
俺の胸元に両手を回し
横から抱きつく和虎。
「誰がダーリンだよ」
「照れなくてもいいじゃんっ」
「暑苦しいって」
あんまり眼鏡を煽るなよ
俺はグラスを口に運びながら
ため息をついた。
俺達を無言で眺める眼鏡に気を遣ったのか
ママが話し掛ける。
「要ちゃん、今日は何か見える?」
ママの不思議な言葉に
俺はなんとなく眼鏡を見た。
「いきなりですね」
苦笑する眼鏡。
「要ちゃんは霊感っ子でね。勘が鋭いっていうか、見えちゃうっていうか‥‥それが当たったりするの」
ママが俺に説明する。
「‥‥へえ」
「明日行くつもりの場所とかね、私しか知らないことが、わかったりするの。すごくない?」
「‥‥へえ」
気のない声を出す俺の肩を抱いて
和虎が揺する。
「リアクション薄ーっ」
和虎が必要以上に俺に触るのは昔からで
俺にはもうなんの意識もなくてさせるがままだけど
和虎に気がある奴が見たらイラつくのは当然で
気がつくと
眼鏡は冷ややかな顔をしていた。
