禁断兄妹
第22章 俺はもう、あいつのことは忘れる
「ねえ、柊兄」
和虎が俯いたまま呟く。
「ん?」
「俺にも言えないこと、あるのかも知れないけど‥‥もっと俺を頼ってよ」
「‥‥」
「最近の柊兄、見てられないよ」
和虎が俺の目を見る。
「柊兄、笑わなくなったよ。前みたいに、笑わなくなった」
「‥‥」
「女関係も、あちこち手ぇ出して、派手になったって噂、聞いたよ」
俺は髪をかきあげながら俯いた。
「萌と、会ってないの‥‥?」
思わず顔を上げた俺
和虎は叱られた子供のような顔で
俺を見ていた。
「‥‥その名前、俺の前で二度と口にするな」
俺の言葉に
和虎は顔を歪ませた。
俺は
萌をめちゃくちゃにしたあの夜のことを
和虎には何も話していなかった。
話せる訳も
なかった。
「どうして‥‥?許せないのはお父さんと美弥子さんだろ?萌は、関係ないのにっ」
和虎は怒ったように
声を震わせた。
「言っただろ‥‥腹違いの兄妹だったんだ。もう、会わないほうが、いいんだ」
「誰の為?何の為?‥‥そんなの全然わかんねーよっ」
「わかんなくて、いいさ‥‥」
小さく笑うと
和虎は言葉を詰まらせた。