禁断兄妹
第24章 美弥子の告白
その一週間後
改めてオーナーに面談のアポを取った俺は
事務所に出向き
直接移籍の希望を伝えた。
オーナーは惜しみながらも
俺の将来の為にはその方がいいと快く承諾してくれて
今入っている仕事のスケジュール調整をして
移籍時期のめどをつけてくれた。
話が済むと
オーナーが出してくれた缶コーヒーを飲みながら
今までの思い出話なんかを
二人でぽつぽつと話した。
「そういや‥‥お前、お母さんに電話したか」
「‥‥いえ」
正直に答えた俺に
オーナーはため息をついた。
「お前にも思うところはあるのかも知れないけど‥‥そういうのは良くないって言ったろ」
「はい‥‥」
家を出た時に携帯を変えた俺は
家族の携帯番号は全て消してしまったし
唯一暗記している自宅の電話にかけるのもためらわれ
そのまま時が過ぎていた。
「もし今までのこと、俺に感謝してるなら、電話しろ。今すぐだ」
オーナーは情に厚く頼れる人で
中学生の頃から世話になっている俺は
本当に今までのことを感謝していた。
オーナーがいなければ今の俺はない。
「わかりました。かけます」