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禁断兄妹

第25章 逃げるの‥‥?


携帯を通して耳に届くざわめき
この中に萌の息遣いが溶けている
そう思うだけで胸が震える。



お前
本当にそこにいるのか

どんな思いで来たんだ


「‥‥あれ、聞こえない」


和虎が独り言のように呟く。


「ごめん萌ちゃん、ここ電波悪いみたいだから、向こうで話してくる。ちょっと待ってて」


電話の向こうで和虎が萌に声をかける。

歩き出す和虎の足音を聞きながら
俺は深呼吸を繰り返した。

落ち着け

萌は
父さんの見舞いに来ない俺を説得したいだけだ

俺と話したいとか
会いたいとか
思ってる訳じゃない

父さんの為に来たんだ

勘違い
するな

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