禁断兄妹
第25章 逃げるの‥‥?
「もしもし柊兄?」
「‥‥ああ」
「萌ちゃんから離れたとこに来た」
「‥‥なんで」
「俺はさっき、声聞く?って言ったよね。それなのに電話を代わらなかったら、柊兄が聞きたくないって言ったからだって思うだろ。萌ちゃんが傷つく」
冷静な和虎の声。
「せっかくわざわざ来てくれたんだよ‥‥柊兄には柊兄の考えがあるのかも知れないけど、電話くらい出てあげなよ。柊兄と、話したがってるよ」
「‥‥」
あんなことをした俺となんか
話したいはずがない
勘違いするな
ブレるな
俺が言うべき言葉は
もう決まってるんだ
どんなに言いたくなくとも
言わなけりゃいけない言葉
それは
「‥‥俺のこと、何も教えないで、追い返してくれ‥‥」
口に出すと
胸がかきむしられるような気がした。
「‥‥本気‥‥?」
「本気だよ‥‥もう切るぜ」
「逃げるの‥‥?」
携帯を耳から離そうとしていた左手が
止まった。