禁断兄妹
第25章 逃げるの‥‥?
「柊兄、それでも男かよ。萌ちゃんは一人でここまで来たんだよ。会いたくないなら、自分の口で伝えなよ」
静かだが強い口調
俺の胸をえぐる。
「どうする‥‥?電話、代わる‥‥?」
「‥‥」
会いたくない
だなんて
萌に向かって言えるほど
俺は強くない。
和虎の言う通りだ
俺は情けない男だ。
黙りこむ俺に
しばらく和虎も無言だったけれど
諦めたのか
小さく息を吐いた。
「ごめん、追い詰める気は、ないんだ」
和虎はもう一度
偉そうなこと言ってごめん、と呟いた。
「萌ちゃんが、あまりにもいじらしくてさ。すごく悩んだ末に勇気を出して来たみたいだし。今日初めて会ったけど、ずっと話だけは柊兄から聞いてたせいで、初めて会った気がしないし‥‥なんとかしてあげたくなったんだ‥‥」
俺の翻意を待つような長い沈黙の後
和虎はため息混じりの声で
「わかった、柊兄のことは何も話さないよ‥‥適当にうまく言っておく。それでいい?」
「ああ‥‥頼む」
俺はそう答えながら
この世の終わりのような
気がした。
「‥‥了解」
和虎はそこで言葉を切って
またしばらく黙った後
「‥‥じゃあ、俺のことだけ、話すねっ」
急にころっと
軽い口調になった。
「‥‥は?」