禁断兄妹
第26章 君は愛されている
「‥‥無理、ですか‥‥」
「うん」
和虎さんは私の目を真っ直ぐに見つめて
「俺はね、柊兄がどんなに君を大事にしてきたか、知ってる。本当に君のことを大切に想ってきたんだよ。その愛情はずっと変わらない。今も、この先も、ずっとだ‥‥」
和虎さんの澄んだ瞳
私を見つめたまま
瞬きもしない。
「何人、どんな女がいても、君はいつも違う次元にいる。君だけが、柊兄のかけがえのない人だ。俺が柊兄と過ごしてきた中で実感したことだよ。それこそ妬けるくらいにね。俺の言うこと、信じてくれる‥‥?」
和虎さんは
静かに
でもはっきりと
私に問いかける。
まるで
愛の告白
どうして和虎さんは
こんなに真剣に
そんなことを言うんだろう
私達のことを
どこまで知っているんだろう
お兄ちゃんの気持ちを見失ってしまった私には
和虎さんの言葉が
まだ
素直に受け止められないけれど
でも
和虎さんの真剣な気持ちは
痛いくらい伝わってくる。
「はい‥‥」
頷いた私に
和虎さんはほっとしたような笑顔を見せた。
「今の柊兄はね、無理をして、迷って、苦しんでる。もしかしたら、君を傷つけるような態度をとったり、言ったりするかも知れない。でもそれは、君を心から想うが為のことだ。
‥‥信じてくれるね?」
「はい‥‥」
「‥‥ありがとう‥‥」
ありがとう
だなんて
和虎さんの笑顔
なんだか切なく見える。