禁断兄妹
第27章 俺にとどめを刺せ
「あのねっ、お父さんの入院してる病院、昨日変わったの。これ、新しい病院の住所とか、部屋番号とか、書いてあるから」
私は鞄から封筒を取り出した。
もしお兄ちゃんの連絡先が聞けないなら
せめて事務所の人から渡してもらえないかと思って作ってきた。
「はい、これっ‥‥」
広い背中に向かって突き出した封筒は
私の手の震えを伝えて
カサカサと小さな音をたてた。
「それと、携帯の番号も今聞いていいかなっ。何かあった時に必要だから‥‥っ」
もうやけくそで
早口でまくし立てた。
その時
お兄ちゃんが
ゆらりと振り返った。