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禁断兄妹

第28章 俺にとどめを刺せ ※※柊side※※


和虎が指で自分の頬を触る仕草をして
それを見た萌が神妙な顔で大きく頷く。

和虎は満足そうに笑いながら顔の横で手を振ると
歩き出した。

遠ざかる和虎の背中を
にこやかに見送る萌

見えづらくなったのか
窓にさらに顔を寄せその姿を目で追って
なかなか座ろうとしない。

俺は昂る気持ちを抑えながら
軽く走って車道を横切った。

和虎が見えなくなった道の先を
まだ名残惜しそうに眺めてる萌

逆方向から近づく俺には
全く気がついていない。

俺は気配を消して
足音を消して
店の入り口を過ぎ
萌の立つガラス窓に近づいていく。


───柊兄、久しぶりに会うんでしょ?たぶん想像の十倍くらい可愛くなってるよ。やばいよ───


ああ
確かにやばい

やっぱり来るべきじゃなかった
心の底からそう思う。

何度も思い出しては撫でていた
あの夜の記憶

汗ばむ白い身体
甘い鳴き声

想像を重ねる内に変質していたそれが
萌を目の前にした今
鮮明に五感に甦る。

その時の
狂いそうなほどの愛おしさと
共に

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